VOC(Voice of Customer)とは?マーケティングにおける企業の活用事例と分析・収集方法

昨今SNSが活発化し、消費者の声の影響力は日々大きくなっています。それに伴い、消費者の意見をとり入れるマーケティングも今や欠かせない戦略の1つといえます。中小・大手にかかわらず、多くの企業が活用するVOCの集め方や分析方法を理解し、競合との差別化を目指しましょう!
- VOCをマーケティングに活用するメリットを知りたい方
- VOCを活用したマーケティング事例を知りたい企業様
VOC(Voice of Customer)とは?

VOCとは、「Voice of Customer」の略称で、顧客の声という意味のマーケティング用語です。言い換えれば、お客様の意見や感想を指します。読み方は、アルファベットの通り「ブイオーシー」で、略さない場合は「ボイスオブカスタマー」です。カスタマーサポートへの電話やメールでの問い合わせ、SNSの投稿や口コミサイトのレビューなど、さまざまなVOCがあります。
VOCをマーケティングで活用するメリットは、主に2つあります。
- ニーズが分析でき、CXや顧客ロイヤルティが向上する
- プロモーション効果がある
「他社と比べて機能性が高かった」「もう少し安かったらよかった」など、企業はVOCから消費者ならではのリアルな視点を発見できます。つまり、VOCはユーザーニーズの把握に役立つのが大きなメリットです。VOCを活用し、ユーザーニーズを反映して商品を開発・改善すれば、CX(カスタマーエクスペリエンス)を高めやすくなります。
VOCとUGCとの違い

VOCと混同される言葉の1つに、UGC(User Generated Content)があります。VOCとUGCの違いは、形式が限定されるかどうかです。
VOCは、顧客が商品・サービスに関連して発信すること全てを指し、発信する場所や形式は問いません。インターネット上の口コミだけでなく、人が直接会話するなかで生じる商品・サービスについての意見や感想も、VOCに含まれます。対してUGCは、名前の通り「コンテンツ」形式での消費者の声を指します。具体的には、口コミサイトの投稿や、Instagramで投稿する商品の画像、YouTubeで発信する商品レビューの動画などが挙げられます。
そのため、UGCはVOCの1種であるとも考えることができ、両者をきれいにすみ分けることは難しいのです。
VOCがマーケティングで重視される理由
マーケティングでVOCが注目される理由として、ユーザーニーズの把握に役立つほか、消費者への影響力が強まっていることが挙げられます。
昨今のSNSの発達により、消費者は企業からの情報だけでなく、一般的なユーザーから情報を収集できるようになりました。同じ消費者の立場として発信されるUGCは、企業が発信する情報よりも信頼できると考える人が増加しています。実際にStacklaの調査※1では、およそ80%の人が、UGCは購入を決める際に大きな影響を与えると回答しています。また、ブランドが発信するコンテンツより、消費者が生成するコンテンツのほうが3.1倍本物だと感じていることが明らかになりました。つまり、VOCにはプロモーションの効果もあるのです。
現代社会において、VOCは購買の意思決定に大きく影響するようになり、売り上げにかかわる要素の1つになりました。そのため、マーケティングでVOCを積極的に活用する企業が出てくるようになったのです。
VOCを収集する方法5つ

VOCを収集する方法は、主に5つあります。
- デプスインタビュー
- ユーザーコミュニティ
- SNS
- アンケート調査
- カスタマーサポート
1つずつ分かりやすく説明します。
デプスインタビュー
デプスインタビューは、VOCを収集する代表的な方法です。デプスインタビューとは、インタビュアーが対象者の本音を丁寧に引き出す、1対1で行うインタビューを指します。デプスインタビューでVOCを収集するメリットは、顧客ニーズを深堀りできることです。1人の対象者に時間をかけてインタビューをするため、通常よりも、一歩踏み込んだ質問がしやすくなります。そのため、カスタマージャーニーや意思決定の流れなどの解像度を高めやすく、自社の課題の把握や、次の施策の検討がしやすくなります。
ただし、デプスインタビューで得られるVOCの質は、インタビュアーのスキルに左右されやすい点に注意が必要です。
ユーザーコミュニティ
ユーザーコミュニティも、VOCを収集する方法としておすすめです。ユーザーコミュニティとは、共通の話題を軸に、ユーザーが集まる場のことで、掲示板やサイトなどさまざまな形式があります。顧客が何を考えているのか知りたい場合、関連するテーマの交流スペースや、キャンペーンを用意すれば、VOCを募集できます。
SNS
VOCを収集するなら、SNSも有効です。XやInstagramといったSNSは、常に情報を更新しています。最新のVOCも収集できるため、顧客のトレンドを知るのにもおすすめです。ただし、匿名の投稿も多く、なかには信ぴょう性に欠けるVOCもあるため、収集する情報は取捨選択しましょう。
アンケート調査
アンケートもVOCの収集方法として人気があります。会員サイトへの登録後や商品の購入後などに、簡単なアンケートを用意しておけば、VOCを収集できる機会が増えます。ですが、アンケートは積極的に意見を発信したい顧客が回答するのが一般的です。また、アンケートに回答すると景品がもらえるといったインセンティブを用意する場合は、インセンティブ目当てで回答する人も出てくるでしょう。そのため、想定よりもVOCを集められなかったり、主張に偏りが出たり、データとして参考にするのが難しかったりする場合もあります。
カスタマーサポート
カスタマーサポートも、VOCを収集できます。問い合わせメールやクレームの電話に対応するカスタマーサポートでは、商品や会社の課題に関するVOCを多く収集できるのが特徴です。顧客は問題を解決するために、相談窓口に経緯や状況を細かく説明する傾向があります。そのため、CXが低下した原因を具体的に把握できます。
VOC分析のやり方

VOC分析は、以下のようなステップで進めます。
- 分析する目的を定める
- VOCを分類する
- 主張をまとめる
- なぜそのようなVOCが生まれたのか原因や背景を調べる
- 再度整理する
- 仮説のもと施策を実行して改善を繰り返す
各ステップを説明します。
分析する目的を定める
まずはVOCを活用する目的を明確にします。目的もないまま「VOCは大切だからとりあえず分析する」という考えは、本質的なゴールを見失っている状態です。「リピーターを増やすために顧客満足度を高めたい」「売れると思っていた商品が思いのほか売れない理由を知りたい」など、どのような課題を解決するためにVOCを活用したいのか、という認識を社内ですり合わせておきましょう。社内で共通認識ができると、優先的に収集・分析するべきVOCを選定しやすくなります。
VOCを分類する
目的を決めたら、集めたVOCを分類します。分析する目的によって分類のやり方は異なりますが、ネガティブなものとポジティブなもの、商品に関するものとブランドに関するものなど、明確に分類できるカテゴリを設定しましょう。後のVOC分析の工程がスムーズになります。
主張の傾向をまとめる
VOCの分類を終えたら、各カテゴリの傾向を把握します。たとえばネガティブなVOCのカテゴリで「包装が雑だった」「届くまで遅かった」といった意見が多かった場合は、「配送の工程」で課題があると考えられるでしょう。
なぜそのようなVOCが生まれたのか原因や背景を調べる
次に、VOC分析から見えてきた主張が、どのようにして生まれたのかを調べます。以下のような場所・方法から調べるとよいでしょう。
- デプスインタビュー
- カスタマーサポート
- SNS
- 社内
VOCが生まれた原因を調べる際のポイントは、状況や顧客の心情を詳細に把握することです。なぜなら原因や背景を企業が正しく認識できていないと、施策の質が落ちてしまったり、方向性を間違えてしまったりする恐れがあるためです。また、具体的なシチュエーションが分かると、カスタマージャーニーにおいて課題がある部分を発見でき、CXの向上にも役立ちます。なお、VOCが生まれた原因は消費者だけでなく、社内からも調べていくと、クリティカルな問題を早い段階で発見できる可能性があります。
再度整理する
VOC分析の結果を改めて整理し、見える化します。グラフやレポートなどに各項目をまとめましょう。
仮説のもと施策を実行して改善を繰り返す
集めて整理したVOCをもとに、仮説を立てます。そして、仮説から目的を達成するための施策を検討・実行し、分析と改善を繰り返します。仮説をもとに実施した施策の分析と改善は、マーケティングの知識がないと難しいため、必要に応じてマーケティング会社にサポートを依頼しましょう。なお、VOCにまつわるマーケティングのサポートを依頼する場合は、ターゲットインサイトが得意な会社を選ぶと分析のクオリティを担保しやすく、おすすめです。
【企業のVOC活用事例】クックパッド株式会社様の自社事例

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よくある質問
VOCに関するよくある質問に回答します。
注意点は?
VOCをマーケティングで活用する際は、1度の活用だけで終わらないように注意しましょう。なぜなら、日々消費者のトレンドは変化していくからです。施策や商品にVOCを反映した後も、アンケート調査やSNSなどを通じて、顧客の反応や新たなニーズを拾えるようにしておくことが大切です。
コールセンターでもVOCを収集できる?
コールセンターでもVOCを収集できます。特にコールセンターは直接会話ができるため、顧客がどのような感情かを把握しやすいのがメリットです。顧客が一番伝えたいことが何であるかは、テキストでは分かりにくい場合もあります。しかし、コールセンターであれば肉声を通しているため、顧客が伝えたいことを理解するためのヒントがその分増えます。
マーケティングにVOCを活用して顧客の思いを読み解こう
昨今、VOCの活用の幅は広がっており、認知から集客、購入、ロイヤルティの向上といったナーチャリングまで、さまざまなフェーズのマーケティング施策にとり入れられています。VOCの収集方法や活用方法が分からないという企業様は、ぜひ株式会社ファン・マーケティングにお問い合わせください。ファン育成に特化した私たちだからこそできるVOCを活用したソリューションのご提案はもちろん、必要に応じて課題の整理から丁寧にヒアリングいたします。
※1:Stackla,「Shifts in Consumer Shopping Habits:Authenticity,Personalization and the Power of UGC」
(最終確認日:2025年5月13日)